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顔のない敵

顔のない敵 顔のない敵

著者:石持 浅海
販売元:光文社
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 対人地雷をテーマとした連作短編です。章ごとに、いろいろな立場から地雷とかかわる人が中心に置かれています。地雷を撤去する人、つくる人、報道する人、被害にあった人…。読み進めるごとに、それぞれの章の人々に関連があることが明らかになり、さまざまな思いが交錯していることが想像できました。簡単に<地雷はよくない。撲滅しよう>と結論しているのではないところが良かったと思います。

 それから、石持作品に登場する主演男性は、どう見ても格好よすぎでしょう(笑)普通なら駄目なところさえ様になってるし、非の打ち所ありませんもん。作者は男の方なのに、女から見て素敵な男性像を描くのがうまいな~と、どの作品でも感心させられてしまいます(「アイルランドの薔薇」に出てくるフジも かなり格好いいです)。

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神の汚れた手

Book 神の汚れた手 (下)

著者:曽野 綾子
販売元:朝日新聞社
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 この本は約20年前に出版されました。ですが、今 読んでもちっとも古さを感じません。

 主人公・野辺地貞春は産婦人科の中堅医師で、妙に飄々とした雰囲気の持ち主です。<人工中絶>という重たいテーマの中で、貞春さんのみならず、登場してくる人々の全てが生き生きと描かれているところが素晴らしいと思いました。魅力的な人がたくさんいます。

 さらに、<中絶>を簡単に悪いこととして書かれていないことも この作品の読みどころではないでしょうか。もちろん、中絶をいいことだとは思っていません。ですが、育てられない子どもを生んで、その子も親も幸せになれるのか?と考えると、一義的に生めばいいとも言えないだろうと。

 こんな葛藤をシニカルに扱っているところが凄いです。倫理観や道徳論を振りまいて<キレイゴト>で終わるのではなく、人間の生の感情が感じられました。

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黒祠の島

黒祠の島 黒祠の島

著者:小野 不由美
販売元:祥伝社
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 本屋さんを散策すると、いろいろな表紙の本が並んでいてウキウキしますね。目当ての本はないけれど、何か読みたい!ときに、結構 ジャケ買い・オビ買いをいたします。この本と出会いは、<オビに釣られて>です。

 ちょっと後ろ髪を引かれるような進み方で、なんともじれったい気持ちになりました。否定的な意味ではなく、そのじれったさが心地よかったんですが(笑) ドゴーン!ギャー!っていうような派手な感じの怖さというよりも、ジットリ…ヒヤッ…としたような和風な仄暗いイメージの怖さを覚えます。

 ひとつ残念だったのが、早い段階でトリックと犯人に気がついてしまったことです。こういった背景・理由があって この事件が起こったんだろうな~と、想像できてしまいました。ですが、最後のオチというか、ラスボス的存在は予想外でした!面白かったと思います。

 希望のある終わり方で、読後感もなかなかです。

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失われた町

失われた町 失われた町

著者:三崎 亜記
販売元:集英社
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 直木賞 残念でしたね。とはいっても、特に受賞を熱望していたわけではありませんが…。

 このお話は、設定が壮大なんですけど 現実からかけ離れすぎていないところが<さすが!>ですね。この作品の世界独特の用語が結構たくさん出てくるんですが、それでも読みやすかったと思います。

 登場する女の人たちが気丈でかっこいいんですよ。<仕事のできる女>に憧れます。でも、がんばりすぎている姿に切なくもなります。人のために努力をしていても、本意が伝わらないことって よくあるものだと思います。それでもやらなきゃいけないことが あるんでしょう。 と、そんなことを感じました。わたしのなかで好感度No.1の<桂子さん>が、最後には幸せになれたかな?と思えただけで満足(笑)

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はじめての文学 村上春樹

はじめての文学 村上春樹 はじめての文学 村上春樹

著者:村上 春樹
販売元:文藝春秋
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 若い人たちへ向けて作られた、今をときめく作家さんたちの短編集シリーズのひとつです。この本には、村上さん自身が選んだ1990年~2003年の17作品が収められています。長編作品とはまた違った印象で、特にこの本は<ほっこり感>があるように思われます。

 なかでも好きな2作品について↓

「牛乳」
世の中の理不尽さをキュッと搾った感じでしょうか。
さながら<濃縮還元100%オレンジジュース>の味がします。

「とんがり焼きの盛衰」
架空のことについてどうしてこんなにリアルに書けるのか不思議でたまりません。
とんがり焼き、食べてみたい!と思わされますよ。

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